障がいから照らす人の可能性

可能性照らし家 西井あやな。 人の持つ可能性にわくわく。 大人になってから視覚障がいを持つ。 視覚障がいを持って働くこと、子育てすることを通しての自分の気づきと経験を惜しみなくできるだけわかりやすく表現します! 講演やお話会お任せください。ご相談やご依頼は、0707gifts@gmail.comまで、@を半角@に変えて送信頂けます様お願いいたします! 

引き返す勇気と違和感のキャッチ

久しぶりに道を迷った。
近所なのに迷った。
迷った、というか、自分が一体どこにいるかわからなくなった。

母が誕生日なのでケーキを予約してあった。
それを取りに向かった。
なんとなく体調が思わしくなく、見え方もよくないような気がしていた。

交差点で横断歩道を渡る時に、
まっすぐわたっているつもりなのに、
横断歩道が自分に対して少し斜めになっていた。

おそらくその時から方向がきちんととれていなかったのだろう。
渡った後も、ケーキ屋さんに向かう未知の感じがちょっとおかしい。
歩道を歩いているのだが、いつの間にか低いブロック塀に囲まれた店舗の私有地に入り込んでしまっていた。

おかしいな、今までこんなことなかったな。

歩道に戻って、目的地へ進み続けた。
ケーキ屋さんは、角のお店。
手前に開き戸の入り口があるのでそこを目指す。

ん?

やっぱりおかしい。
ケーキ屋さんの場所はここのはずなのに、入り口がない。
あるのは膝の高さの石の塀ばかり。
塀が途切れたと思ったらそこはガレージ。

ケーキ屋さんが消えた??

お店に電話して入り口まで出てきてもらおうと思ったが、
その前に道を1ブロック戻ってみて、もう一度確かめる。
もしかしたら1ブロック道を行きすぎているのかも。

来た道を戻ってまた引き戻す。

やはりケーキ屋さんの入りグッチが見当たらない。

ここはあきらめて、いったん帰宅しよう。
母に代わりに取りに行ってもらおう。

家の方向へ戻る。
坂を下って曲がれば家・・・・ん?やっぱり道がおかしい。

いや、おかしいのは道ではない。
私が歩いているのは、自分が歩いていると思い込んでいるのとはどうやら違う道のよう。

ここで母に電話して事情を伝える。
スマホのナビアプリで家の場所にフラグを立ててあるので、
アプリを頼りに家の方向へ向かってみる。
視覚障がいがあっても使えるようになっているこのアプリは、目的地までどれくらい離れているか、
目的地は今の場所からどの方角にあるかをアナログ時計の文字盤の方向で教えてくれる。
私がいたのは、家から200m弱8時方向に離れた場所だった。

どこー???(笑)

ナビを頼りになんとか帰宅する途中、
あれ?ここかな?

角の建物から漏れ聞こえる子どもの声。
このケーキ屋さんは夫婦経営で保育園に預けるくらいのお子さんが2人いる。
今日は日曜日。
保育園はお休みだから、おじいちゃんとおばあちゃんがお店に来て、お店で子どもを見てくれているはず。

試しに近寄ってみると、

あ!入口発見!!ここっぽい。

予定より40分遅れて無事お店到着。
ケーキを受け取ることができた。

ふーーーぅ。


今日の経験から、思い出したことがあった。

数年前、私はあるチャレンジをしていた。
自分のビジネスを始めようとコンサルタントにお世話になり、
まさに途中まで進めていた。
自分の会社も設立し、物件も借りていた。

が、途中で雲行きが怪しくなった。

既にある程度のお金をかけている。
ここから先、進むのにはいくつか不安が出てきていた。
ここまでやったし、それなりにお金もかけているのだから何とか形にしたい、という想いも強かった。
進むのも有機。中断するのも有機、だった。
どちらに進むにもかなり勇気が必要だった。

悩んだ末、私は辞める決断をした。

その時は、進むより辞める方が勇気が必要だった。
今では辞めてよかったと思っている。

もちろん毎回途中で辞めてしまうことがその状況によって適切かどうかはわからない。

ただ、安心と安全を優先し、自分が安心できる場所まで一度引き返してみること、
そこからまた始めることがかえって適切に働く場合もある。
しかも辞めることが無になるのではない。
きちんと「経験」が積み重なっている。


この時も、道に迷った時も、
進むまでの道すがら、

あれ、おかしいな。

違和感が何度かあった。

何事もそうだが、違和感にはかなりのメッセージが込められていることが多い。
この違和感を無視せず、
自分の違和感を受け取り、
必要であれば周囲へ共有すること、
この積み重ねが、かなりの功を奏している。