知識とスキルを習得してQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を向上することを目的に、私は視覚障害を持つ人のサポート機関に通った。
そして、得られるであろう知識とスキルを活かすのにもっとも重要なベースを適切に持てていないことに気付くことが出来た。
そのベースとは、自分を知ること 自分の状況への理解である。
自分がどんな風に見えているのか、だからどんな風に目を使うと良いのか、適切な補助ツールは何でどれを選んでどんな風に使うのか。
これらがわかってくると、自分の見え肩をより深く知ることができ、人に説明できるようになる。
もちろん今までも眼科での検査は行っていた。
だが、眼科での検査は、どちらかといえば状態を確認する眼科医のための検査だったように思う。
病院で行われる検査を、実生活に照らし合わせて活かす・説明することが私にはできていなかった。
サポート機関では、様々な見え方の確認方法を時間をかけて行いながら、
目の動かし方を練習したり、実際の補助ツールをいくつか試し、自分に合うものを見当をつけながら、時間をかけて自分の見え方と向き合うことが出来た。
この時間のおかげで、自分のことを客観的に知ることができて、自分がどんな見え方をしているのか、人に説明できるようになったと思う。
視覚障害という経験は、世の中ではごく少数の人が持つ経験で、なかなか多くの人からの共感を得られにくい。他者から見て、よくわからないもの、なのだ。
経験の持ち主である自分にとっても よくわからないもの だと、照らし合わせる経験を持たない世の中の大多数の人にとってはますます よくわからないもの、なのだ。
そして大抵の人は、よくわからないもの、には近づこうとはしない。
私は人事で採用担当をしていたこともあるのだが、自分のことを人にわかりやすいように説明できること、実はこれは障害を持つ人の就職・転職活動でとても重要なポイントになる。
自分にとっても相手にとっても、よくわからないものを持つよりも、説明できるものを持っていた方が安心で、適切なサポートを受けやすい。
*******
自分の状況を知る
↓
何が得意なのか・何ができるのか・何がやりたいのか
↓
何が苦手/難しいのか
↓
どんなサポートが必要なのか
自分の状況を人に説明する時には、イメージしてもらいやすいように例えを用いるのもいいかもしれない。
専門用語を使うよりも、多くの人にとってわかりやすい表現を用いることも重要だ。
困っている状況、大変な状況には目をそむけたくなることもあって、認めたくないこともある。
向き合わずに、逃げることも解決策の一つとなる場合もある。
もし状況を動かしたい、次のステップへ進みたい、抜け出したい、変えたいと思うのであれば、
状況を客観視してとらえたり、状況の説明ができることがその重要な第一歩となる。
誰かにアドバイスをもらったり手伝ってもらうのも一つの選択肢だ。